皆さん、こんにちは。
17日、札幌地裁は「同性婚不受理」は違憲性を認めつつ、請求を棄却しました。
これは全国5地裁で争われている同種訴訟で初の判決となります。
司法が同性婚を認めた、と話題になっています。
札幌市では、互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいと誇りを持つことができるまちの実現を目指し、平成29年(2017年)6月1日より性的マイノリティに係るパートナーシップの宣誓制度を開始しました。(札幌市ホームページより)
まだ全ての自治体で採用されてはいない制度ですが、札幌市は全国で6番目、政令指定都市では初めてパートナーシップ制度が導入されました。
それ以外にもLGBTに関する取り組みとしては、
『LGBTほっとライン』
『札幌市LGBTフレンドリー指標制度』
『札幌市版ALLY(アライ)マーク』
『LGBTへの理解を深める講演会(コロナの影響により令和2年度は中止となりました)』
などいくつかあります。
性的マイノリティに対する差別の解消や権利主張を目的に行われるパレードである
『さっぽろレインボープライド』
などの活動を運営する団体もあります。
LGBTに対しては今は色々な活動や入り口などがありますが、その中でも弊社のような建築会社が関わる『住まいづくり』にも取り入れていくべきだと考えております。
しかしまだ、同性カップルが住宅購入や建築するには『婚姻関係』がないことがハードルになることの方が多いのも事実です。
大きく関わってくる問題として、住宅ローンがまずひとつでしょう。
現金払いであれば(相続の問題は別にして)それほど難しいことはないと思いますが、ほとんどの方は住宅ローンを組むことになると思います。
お一人で住宅ローンを組む場合は、個人の年収や借り入れ状況などが判断の基準となりますので、異性でも同性でも同じことになります。
ではパートナーが戸籍上同性の場合はどうでしょう。
最近では大手銀行や地方都市銀行など、住宅ローンの配偶者の定義に同性パートナーを加える銀行が増えてきました。
2017年にみずほ銀行が商品改定をしたことを皮切りに、複数の銀行が同性カップルへの取り組みを開始しました。
一定条件を満たせば同性カップルが婚姻している夫婦と同様の扱いで収入合算やペアローンを組むことが可能となりました。
では銀行はどのような条件や書類を必要としているのでしょうか。
多くの銀行が求めている
「合意契約に係る公正証書」
「任意後見契約に係る公正証書および登記事項証明書」
といったものはどのような書類でしょう?
「合意契約に係る公正証書」
「2人が愛情と信頼に基づく真摯な関係であること、共同生活においてお互いに責任を持ち協力すること」などの当事者間が認めたことを証明する「契約書」です。
公証役場の公証人がその「合意契約書」を「公文書」にしたものが「公正証書」となります。
一般の書類に比べて証明力や執行力があり、法的な意味合いが強いものとなります。
「任意後見契約」
「将来、認知症などで自分の判断能力が低下した場合は、パートナーに生活面での手続きや財産管理を行ってもらいます。」とあらかじめお願いできる契約です。
そしてこの「任意後見契約」は「公正証書」でなければならないので、同じように公証人によって作成され、法務局に登記されます。
この任意後見契約が登記されていることを証明するのが「登記事項証明書」となります。
また、お二人で住宅ローンを組む場合、主に3つの方法があります。
『ペアローン』
お二人が別々にローンを組み(契約がふたつ)、それぞれの連帯保証人となります。
所有権はお二人が持つことになります。
メリットは住宅ローン控除が二人分利用できること。
ただし手数料は2倍となります。
注意点は団信(団体信用生命保険)です。
それぞれ団信に加入し、どちらかが亡くなるとその人のローン返済は免除となりますが、パートナーのローン返済は残ります。
『収入合算(連帯債務型)』
こちらはローンがひとつで収入合算をしお二人で返済していく、という契約です。
主債務者と連帯債務者として返済の義務はお二人にあります。
こちらも住宅ローン控除が二人分利用でき、手数料は1本分のみ。
主債務者が亡くなると返済免除となりますが、連帯債務者が亡くなるとローンは残ります。
ただしお二人で加入できる団信なら、どちらが亡くなってもローン返済は免除となります。
『収入合算(連帯保証型)』
連帯債務型と違い、こちらはあくまでお一人でローンを組み、パートナーは連帯保証人として主債務者が返済できなくなった場合のみ、請求を受けます。
住宅ローン控除はお一人分のみ。
こちらも主債務者が亡くなると返済免除となりますが、連帯保証人が亡くなってもローンは残ります。
この場合、連帯債務型と違って団信の対象にはなりませんので、その他の生命保険に加入しておくことが必要となります。
大事なことは、住宅ローンの支払いが終了するまで連帯保証人として義務があるということ。
もし万が一、別れてしまった場合でもローンが完済するまでは続きます。
長期に渡って組む住宅ローンは、将来のことも考えながら選んでください。
ご夫婦が離婚した場合、財産分与を求めることができますが、法的な婚姻関係ではない同性カップルの場合、それは難しいことがあり、もめることもあるそうです。
またどちらかが亡くなった場合、残されたパートナーは法定相続人ではないので、法律上はそのまま相続はできません。
法定相続人の親族が権利を主張したら、せっかくお二人で購入した家に住み続けられなくなります。
色々と考えなければならないことはありますが、愛するパートナーとの将来に向けてしっかりとした準備をすることは、お二人の幸せな生活には必要なことです。
『暮らしを楽しむ』をコンセプトに住まいづくりをしている我々としては、結婚されているご夫婦だけではなく、シングルの方ももちろん、セクシャリティに関係なくすべての方のお手伝いができればと考えております。
お住まいに関することは弊社へご相談ください。オンラインでも受付しております。
※LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者、性同一性障がいを含むこともある)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつです。